気まぐれ通信 No.5 大坂なおみさんの黒いマスク

A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
通信版PDFは下のリンクからダウンロードできます。

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2020.9.13 テニスの全米オープン女子シングルス決勝

大坂なおみさんの黒いマスク

 2020.9.13 テニスの全米オープン女子シングルスで大坂なおみさんが2度目の優勝を果たしました。メンタルもフィジカルも成長した成果として、2度目の優勝が称賛されています。本当におめでとうございます。
 同時に、1回戦から着けていた黒いマスクが世界中で大きな話題になっています。優勝後のインタビューで7つのマスクについて聞かれると、大坂なおみさんは

「あなたが受け取ったメッセージは何でしたか? あなたがたがどのように受け取ったかに興味があります。話し合いが起きれば良いと。USオープン会場の外で起きていることについては詳しくないですが、より多くの人がこのことを語るきっかけになると良いと思います。」

と答えました。優勝インタビューで黒いマスクについて質問されるのは予測していたでしょう。その答え方次第では、様々な議論を生む可能性もありました。この微妙な質問への彼女の答えは素晴らしいと私は思いました。

あなたはどう受け取った?

 2020.5.25.アメリカのミネアポリス近郊で、ジョージ・フロイドさんが警察官に頸部を膝で強く押さえつけられて亡くなった事件をきっかけに、抗議行動が激しくなりました。一時、日本のマスコミでも取り上げられましたが、すぐに報道が小さくなり、トランプ大統領が「暴動」と呼ぶことに焦点が移って行った頃でした。私にとって大坂なおみさんの黒いマスクは、この問題をきちんと受け止める機会になりました。

 黒いマスクに書かれていた名前は次の通りです。
  1回戦「BREONNA TAYLOR」
  2回戦「ELIJAH MCCLAIN」
  3回戦「AHMAUD ARBERY」
  4回戦「TRAYVON MARTIN」
  準々決勝「GEORGE FLOYD」
  準決勝「PHILANDO CASTILE」
  決勝 「TAMIR RICE」

 ここでは、ここに書かれた7人の方々がどんな人なのかは紹介しません。ぜひご自分で調べてみてください。
 私は、ネットで調べていく中で、自分の認識を変えるいくつかの記事、写真、意見に出会うことができました。

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Stephen Maturenのinstagramより


 例えば、写真家Stephen Maturenのinstagramに載せられたいくつかの写真が印象に残りました。端的な論説もいいですが、事実を無言で切り取った報道写真も多くのことを伝えてくれると私は思います。
 私は「暴動」ではないと確信しました。一部の人が暴徒化したことはあるかもしれませんが、今起こっている抗議活動を暴動と片付けるのはおかしいと思います。

 さらに、こんな記事の見出しも目にとまりました。

特に“珍しくない“事件

どれだけ死ねば十分なのか?

 黒いマスクに書かれていた7人の方々だけでなく、他にも多くの犠牲者がいることを知りました。

Laquan McDonald(2014.10.24.)
Eric Garner(2014.7.17.)
Walter Scott(2015.4.4.)
Atatiana Jefferson (2019.10.12.)
Dreasjon Sean Reed(2020.5.6.)
Jacob Blake(2020.8.23.)

 人種差別が現在もあり、命を奪っていることを改めて思い出させてくれました。そして、「どれだけ死ねば。。。」と激しい怒りを抗議活動にぶつける人々のことをきちんと知りたいと思いました。

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ビリー・アイリッシュが人種差別抗議デモで「テイク・ア・ニー」

 今世界で最も注目されているシンガーであるビリー・アイリッシュは、誰にも媚びないティーンの代弁者と言われるように、その発言は常にストレートで強いです。instagramのフォロワーが6,701万人である彼女の「テイク・ア・ニー」やメッセージは、瞬く間にSNSで拡散し、若者を中心に大きな影響力を与えるでしょう。ビリー・アイリッシュのメッセージです。

 「この社会では白人というだけで優遇される。貧乏だろうが、苦しんでいようが、肌の色が白いというだけで、あんたたちは自分たちが思っている以上に、他の色の人たちよりもたくさんの特権を与えられている。でも、白人だからといって、あんたたちが他の人たちよりも優れているというわけじゃない。その肌の色のおかげで、生きることへの不安や心配を抱えて生きる必要がないというだけ」
 「今、この瞬間にみんなで話し合うべきことは、何百年と続く黒人の人たちへの制圧について。『Black Live Matter(黒人の命にも価値がる)』というスローガンは、“黒人以外の命に価値がない”と言っているわけじゃない。このスローガンは、今の社会が黒人の命をまるで価値のないもののように扱っているという、まぎれもない事実を訴えているだけ」

 さすが、ビリー・アイリッシュです。『Black Live Matter』というスローガンに対する批判にも明快に反論しています。著名人の抗議活動には様々な意見が飛び交います。報道にも立場があり、扱い方は様々です。でも、大切なのは自分がどう受け取るかです。誰かの意見に流されるのではなく、自分で判断したいと思います。

あなたはどのように感じられますか?

 今回は、大坂なおみとビリー・アイリッシュの若い二人を中心に、人種差別に抗議し、闘ってきた人たちのことを綴ります。ネットの情報の切り貼りですが、今は、ネット情報をどのように取捨選択し、どのように自分で消化するかが重要だと思います。私の切り貼りを読んで、あなたはどのように感じられますか?