気まぐれ通信No.10 Take a knee の始まりと広がり
Black Lives Matter運動が世界中で広がりを見せている
その運動の象徴的なパフォーマンスになりつつあるTake a knee
これも一人のトップアスリートの行動から始まりました
大統領も敵に回した彼は今どうなっているでしょう
A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
通信版PDFは下のリンクからダウンロードできます。
Take a knee の始まり
黒人が警官に射殺される事件は何度も起こっています。
2016年7月5日、アメリカ南部ルイジアナ州で黒人男性が警官に射殺されました。
7月6日にも米中西部ミネソタ州で、黒人男性が警官に射殺される事件が続いた。大坂なおみが準決勝でつけていた黒いマスクに記されていた「PHILANDO CASTILE」さんです。
世界に中継された射殺事件
車のテールランプが切れていることを理由に停車を命じられた黒人のフィランド・カスティールさんは運転席で警官に撃たれました。助手席に座っていた恋人のダイヤモンド・レイノルズさんが、銃撃の直後からSNSのFacebookで中継を始めました。レイノルズさんは、恋人が銃撃されたことにショックを受けながらも、状況を正確に伝えようとしました。
「映像を切らないで(Stay with me.)。警官が私のボーイフレンドを撃ちました。彼は銃の所持許可証を持っていると言いました。ID(身分証明書)と一緒にポケットの財布に入っていると言いました。銃も車の中にあると言いました。財布を出そうとしたら、警官が彼の腕に向けて撃ったのです」
映像には,レイノルズさんの顔と、隣で白いTシャツを血に染めて呻くカスティール氏が交互に映る。警官が「手を伸ばすなと言ったのに!そのままにしていろと言ったのに!」と興奮して怒鳴る声が入る。するとレイノルズさんが「あなたがID、免許証を出すように言ったのですよ」と理性を保ったまま言い返す。彼女は,発言のたびに"sir"をつけ,礼節を失わない。警官が窓から銃を中に突きつけたままであるのも映し出している。2~3分後には,カスティール氏が動かなくなる。レイノルズさんは「神様,彼が死ぬなんて言わないで!」と叫ぶ。
2日続けて起きた警官による黒人射殺事件。しかも、直後の映像や音声が中継され、凄い勢いで拡散されました。当然、全米で抗議行動が巻き起こりました。
コリン・キャパニックのTake a knee
アメリカのアメリカンフットボールのプロリーグであるNFLのサンフランシスコ・49ersのクォーターバックとして活躍したコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)も抗議活動を起こしました。
2016年8月26日、NFLプレシーズンマッチでの試合前の国歌斉唱時に、キャパニックは起立を拒み、片膝をつく姿勢を通しました。Take a kneeの始まりです。彼は「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と抗議行動の理由を述べました。
スーパーボウルにクォーターバックとして出場したスーパースターの行動に、多くの選手が賛同して国歌斉唱時のTake a kneeは大きな運動となりました。当然のこととして、その賛否にアメリカの世論は大きく割れました。
キャパニックを非難するトランプ大統領
トランプ大統領は、キャパニックの行動を国歌・国旗に対する不敬な態度として口汚く攻撃しました。
「我々の国旗に不敬な態度をとる奴に、NFLチームのオーナーが『あのクソ野郎をすぐにグラウンドからつまみだせ。出てけ。クビだ』と言ったら最高だ。」「そのうちどこかのオーナーがきっとこう言うに違いない。『あいつは国旗を侮辱した。クビだ』とね。彼らは知らないのだ。私にはオーナーの友人がたくさんいる。」
このトランプ発言に、他のNFLの選手たちが大反発し、Take a kneeはさらに拡がる結果になりました。
しかし、2016年シーズン終了後、49ersとの契約が切れた後、彼を迎え入れるチームはなく、現在も彼はNFLでプレーできず、失職状態にあります。