気まぐれ通信No.9 スポーツ界で広がるBlack Lives Matter運動

アメリカではオリンピック委員会が抗議活動を容認
サッカーのプレミアリーグブンデスリーガでは
ユニフォームにBlack lives Matterの文字が入り
選手も審判もTake a knee
この動きは止められない

A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
通信版PDFは下のリンクからダウンロードできます。

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米国オリンピック・パラリンピック委員会が抗議活動を容認へ

 人種差別の問題を取り上げてきましたが、スポーツ選手の抗議活動に関しては、50年前と変わらぬ「政治を持ち込むな」「政治的中立」といった意見が根強く、選手の抗議活動には今でも批判的な人が多いことを知りました。
 でも、新しい動きを示す嬉しいニュースを見つけました! こうして世の中は変わっていくんだと思います。

 米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は2020年6月8日、オリンピックの舞台では処分対象になりかねない選手の抗議活動を容認する姿勢を示した。
 米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行されて死亡した事件を機に、黒人への差別問題が米スポーツ界でも再燃している。USOPCのサラ・ハーシュランド最高経営責任者(CEO)は選手数百人と意見交換し、黒人選手の意見に寄りそう環境をつくると宣言。選手中心のグループを立ち上げて、選手の抗議活動の権限を含めた組織内のルールなどに、人種の壁や不平等がないかを見直すという。

 USOPCのCEOであるハーシュランドさんの声明が素晴らしいと思います。

 ハーシュランドCEOは声明で、
「この数十年間、(黒人選手は)変化を求めて公平性や連帯を訴え、表彰台の瞬間までも犠牲にした。
 一方、私たちは耳を傾けず、差別や不平等を許してきた。申し訳ない。黒人の命は大切だ。みなさんの意見を採り入れ、壁を取り払い、ルールが変わるように取り組む」

と選手たちに約束。
 一方で「世界中でも変化が起きるよう訴える」と宣言した。
 米国ではスポーツ選手の抗議活動も積極的で、来夏の東京五輪パラリンピックでも頻繁に起きる可能性がある。
  (朝日新聞デジタルより)

「表彰台の瞬間までも犠牲にした」って名言です! 

 Black Lives Matter運動がアメリカから拡大し、世界的な規模の抗議活動になっており、それを無視することはできなくなっているようです。アメリカの動きを受けて、国際オリンピック・パラリンピック委員会はどう対応するのかが注目されます。

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プレミアリーグのユニフォームに「Black Lives Matter」

サッカー界でもBlack Lives Matter運動が広がる

 新型コロナウイルスのために一時中断していたサッカーのプレミアリーグが再開しました。選手たちは再開初戦となった試合で、人種差別に抗議する姿勢を示すため、「Black Lives Matter」の文字がプリントされたユニフォームを着用しました。人種差別に抗議する動きがサッカー界にも広がっています。
 プレミアリーグのチームに所属する選手たちは6月16日、リーグの再開に先駆けて声明を発表。

「私たち選手一同は、起きている場所にかかわらず、人種的な偏見を根絶するという目的のために団結して、肌の色や信条に関係なく、受容し、尊敬しあい、すべての人々に平等の機会がもたらされるようなグローバルな社会を実現させます。このシンボルは、全ての選手やスタッフ、クラブ、審判団、そしてプレミアリーグの団結を示しています」

とユニフォームの特別な仕様に言及して、人種差別の根絶に向けて団結する姿勢を示しました。

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試合前、敵も味方も審判もTake a knee

公式試合でTake a knee

プレミアリーグでも、ブンデスリーガでも

 プレミアリーグ戦再開後の初日に行なわれた2試合では、特別仕様のユニフォームの着用に加えて、選手たちは、人種差別に平和的に抗議するための象徴的なジェスチャーとなっている「Take a knee(テイク・ア・ニー)」と呼ばれるポーズもとった。
 5月にリーグ戦を再開していたドイツのブンデスリーガでも、「Black Lives Matter」の文字がプリントされた腕章やシャツを身につけて試合に出場し、Black Lives Matter運動に賛同する姿勢が示されました。また、6月6日に行なわれたボルシア・ドルトムントヘルタ・ベルリンの試合では、試合前に選手たちが膝をつき、人種差別に抗議しました。

Take a kneeが象徴的なパフォーマンスに

 「Take a knee(テイク・ア・ニー)」がBlack Lives Matter運動の象徴的なパフォーマンスになりつつあるようです。
 今後、様々な集会やデモ、スポーツの試合会場、音楽のライブ会場でTake a kneeが行われるでしょう。選手だけでなく、観衆もそれに加わるかもしれません。東京オリンピックも然りです。

 「Take a knee」= 片膝をつく姿勢が何故、人種差別の抗議活動になったかについては次号でお話したいと思います。ここにも、リスクを恐れず、人種差別に抗議したトップアスリートの物語があります。