気まぐれ通信No.11 Take a kneeが世界を

2016年に警官による黒人射殺事件に抗議して
Take a knee を行なったキャパニックはNFLを追われた
しかし、NIKEは彼を賛え、選手たちは訴え続け、
ついに、NFLが過ちを認めた

A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
通信版PDFは下のリンクからダウンロードできます。


drive.google.com

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Believe in something, even if it means sacrificing everything. #JustDoIt

人種差別に一石を投じたNFLプレイヤーを讃える!

 Nikeは2018年の30周年記念キャンペーン “Just Do It” において、サンフランシスコの街に、1人のNFLプレイヤー、キャパニックの写真と共に、一節のメッセージを添えて巨大な広告を掲げました。

Believe in something.
Even if it means sacrificing everything.
  何かを信じろ。
  たとえ全てを犠牲にしたとしても

 そして、彼を称える1足として"AIR FORCE 1(エアフォース 1)"を販売します。黒が印象的なシューズには彼のアフロ姿がデザインされていました。
なんともカッコいいNikeです。
 2016年シーズン終了後、NFLの32チームから事実上追放されてしまったままのキャパニックに対して、Nikeは毎年、広告契約を更新し続けていました。そして、2018年の30周年記念キャンペーンでの起用です。Nikeは公式な声明を出しているわけではありませんが、広告に添えられたメッセージを読めば、キャパニックを人種差別に抗議し、一石を投じた偉大なプレイヤーとして讃えていることに間違いありません。
 もちろん、トランプは、Nikeも攻撃しました。2018年9月5日、トランプは「Nikeは間違いなく、怒りと購買拒否によって殺される。Nikeはそうなることを分かってやっているのか」とツウィートしましたが、Nikeは取り合いません。

Take a kneeが世界を

 そして、2020年現在、全米から世界へ広がっているBlack Lives Matter運動の中で、キャパニックのTake a knee が「国歌斉唱での起立拒否」という部分はカットされて、人種差別に抗議する象徴的なパフォーマンスとして広がりを見せています。「Take a knee」をキーワードにWebで画像検索すると、様々な国、競技、人々の姿が無数に出てきます。

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NBA ロサンゼルスレイカーズ
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F1 ルイス・ハミルトン
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AFL コリングウッドリッチモンドの選手
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MLB ヤンキースナショナルズ
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イギリスの消防士
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カリフォルニア州下院議長のナンシーペロシ、他議員

NFLも間違いを認め、前進を誓う

 前号で触れたように米国オリンピック・パラリンピック委員会が声明を出した同じ2020年6月6日、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルが「以前にNFL選手の声に耳を傾けなかった」ことは間違いだったと認め、NFLソーシャルメディアを通じて投稿した動画で「すべての人が意見を述べ、平和的に抗議」することを奨励すると発表しました。

「私たちの国は難しい時期を迎えています。とりわけ、この国の黒人の方々です。まず、ジョージ・フロイドさん、ブレオナ・テイラーさん、アマード・アーベリーさん、そして、警察の蛮行に耐えてきたすべてのご家族の皆さまに哀悼の意を表します。」
「われわれNFLは、人種差別や黒人の方々に対する組織的弾圧を糾弾します。われわれNFLは、以前にNFL選手の声に耳を傾けなかったのは間違いだったと認め、すべての人が意見を述べ、平和的に抗議することを奨励します。われわれ、NFLは、黒人の命の大切さを尊重します。個人的には皆さんと共に抗議しており、この国の切望される変化に携わりたいと思っています。黒人選手なくして、NFLは存在しません。国内で行われている抗議活動は黒人の選手、コーチ、ファン、スタッフに対する何世紀にもわたる沈黙、不平等、弾圧を象徴しています。私たちは耳を傾けています。私は耳を傾けています。声を上げてくれた選手たちに連絡し、改善方法やNFLファミリーがさらに一致団結して前進できる方法を伝えていくつもりです」
NFL公式サイト日本語版

 人種差別に対する抗議運動は、発言力を持った者たちに押し潰され、膨大な数の無関心な者の沈黙によって無いものにされて来ました。それは、声をあげ、抗議する者はずっと少数であったからです。
 しかし、ここ7回の通信で取り上げてきたように様々な人たちが沈黙を破って、声をあげ、無関心をやめ、みんなで声をあげようと呼びかけています。それに応えて様々な人たちや組織、企業、団体が声をあげ、Take a kneeを行なっており、少数ではなくなりつつあります。
 デモや集会だけでなく、世界中のあらゆる場で、アスリートやアーティスト、観客が行う無数のTake a kneeがBlack Lives Matter運動を、今度こそ成功に導くかもしれません。
 日本ではほとんど報道されなくなリましたが、私たちも関心を持ち、話し合うことから始めてみましょう。

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