気まぐれ通信 No.3 みちのく未来基金 第1期生の集い

A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
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みちのく未来基金 第1期生の集い

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みちのく未来基金 第1期生の集い「みちのく未来通信」より

1期生94名が進学

 2012年3月までに震災遺児100名からみちのく未来基金への申請がありました。決して勉強に集中できるような環境ではなかったはずですが、うち94名が進学を決定しました。
 基金事務局は、みちのく生同士が横のつながりを築き、自分の夢について改めて考えるきっかけになればと、3月24・25日、第1期生の集いを開催しました。
 参加者の菅野明俊さんは、1期生を代表して「震災で進学を諦めて働こうと思っていたが、皆さんの支援のおかげで進学の夢が叶いました。いずれは社会に、ふるさとに貢献できるような人になって支援していただいた全ての皆さんに恩返しがしたい。」と語りました。
 最後の門出の会では、全員が一人ひとり、将来の夢や故郷への想いを自分の言葉で語りました。

  • 当たり前のことが当たり前でなくなってしまったので、これからは当たり前のことに感謝して、いずれは地元の役に立ちたい。
  • 4年間思いっきり遊んで勉強して、楽しんで地元に帰りたい。将来は陸前高田に恩返しできる人間になりたい。
  • 誰からも信頼されて、笑顔の素敵な美容師になる。いい大人になる。
  • 東京の調理師学校で一生懸命勉強する。食べ歩きをする。実家の食堂を継ぐ!
  • 様々な技術を身に付け、将来は信頼される整備士になりたいです!!
  • 子どもに夢を与えられる、あこがれられる、そんな保育士!!
  • 子どもの気持ちを常に考えて、理解できる保育士になりたい!!
  • 立派な、相手を想うことのできる医療人になる!!
  • 動物(ヒトを含む)を大切にできる人になる!!
  • みんなからあこがれられるSHOP店員になる!!
  • 留年しないで薬剤師!!
  • 目指せ農業改革!!
  • 自然を知る 自然保護!!
  • ありがとう 何事にも感謝!!
  • 今は自衛隊に入りたいと思っています!!
  • 自分自身の未来を、自分の手でつくりあげる!!
  • 大学で夢を見つけてそれに向かって進む!!
  • 恥じない人生にする!!
  • 努力できる人間になりたい!!
  • 夢に向かって努力する!!
  • 今出来ることを一生懸命やる!!
  • 他人の辛さや悲しみに寄り添えるような優しい人になりたい!!
  • 辛い時も笑顔。自立してお母助ける。何事もあきらめない!!


 みちのく生の多くは、進学先では、震災で被災したことや大切な親を亡くしたことをほとんど語っていない。話せばあの日を思い出し、悲しみが蘇るからだという。しかし反面、ふるさとを離れ、あの日のことが日本中から忘れ去られることも嫌だと思っている。
 

震災から1年半後に基金SNSに投稿してくれた、みちのく生のメッセージ

 昨日で1年半......、いつの間にかそんなに時間が経ってたんだなってテレビに地元が映ってんの見て思った。この1年半、いろんなこと経験してきたし、感じてきた。たくさんの人に支えられて、励まされてここまで来れたんだなって。ほんといくら感謝しても足りないくらい。
 あの日からわたしの生活は一変した。それまで当たり前だったことが当たり前でなくなった。水も電気も食べ物も。水がない不便さ、電気がない恐怖、食べる物がない不安、生きるって大変なんだなって改めて実感した。
 どうしたらいいかわからない毎日を生きていくのでいっぱいいっぱい。どれだけ泣いたかわからない。誰にも会いたくないし、何もしたくない。そんな日がずーっと続いた。
大学目指してたけど、学校がいつ再開するかもわからない。いや、それ以前に進学できる? 諦めるべき? いろんなこと考えた。お母さんひとりにして東京行きたくない。学費は大丈夫かな? 迷ったりもしたけどお母さんは背中を押してくれた。
「お父さんもきっと応援してくれるよ!」って......。
 お父さんはいつもわたしの大学進学について真剣に考えてくれていた。いろんな大学の本を読んで、付箋を貼って「ここの大学どうだ?」って。その時は、またかよ......って適当に聞き流したりもしたけど、今考えるとほんとわたしのこと考えてくれてたんだなって。だから今通ってる大学もお父さんが見つけてくれた大学。保育士になりたい!っていうわたしのためにお父さんが探してくれた。
 ほんと今更だけどありがとう。そして、そこに通えているってことは、みちのく未来基金の方々をはじめとするたくさんの方々のおかげ。
 感謝の気持ちを絶対忘れない。そして、わたしも誰かのために一所懸命になれる人になりたいと思った。感謝しても足りないけど、本当に本当にありがとうございます。これからもがんばります。

 彼らに一生懸命も恩返しも求めていないが、あきらめずに夢を持ち、前に進んでくれることが嬉しいと思いました。