気まぐれ通信No.14 ビリー・アイリッシュに心酔する理由 「憧れ」から「共感」へ
「憧れ」から「共感」へ
『Z世代』はリアルな視点を持ち、多様性と個性を重んじる価値観を持っています。ビリー・アイリッシュ のささやくような独特な歌声や他に類を見ない独特のキャラクター、ユニークなファッションが、個性をもっとも重視するZ世代のティーンたちを熱狂させています。
A4の通信を書いています。宜しければご覧ください。
通信版PDFは下のリンクからダウンロードできます。
従来の「完璧なスター」とは違い、ビリー・アイリッシュは自分の「不完全な部分」を隠そうとしません。
日本では発達障害に含まれる「トゥレット症候群」と診断されたことや、音に色を感じたり、形に味を感じたりする特殊な知覚現象である「共感覚」の持ち主であること、そして、10代前半の頃から「うつ」や「不安」の症状に悩んできたことをSNSやインタビューで自ら語り、公にしています。
「おかしなものだよね。ビリー・アイリッシュの14歳当時を考えた時、みんなが考えるのは、私の身に起こったポジティブなことばかり。でも、私自身が思い浮かべるのは、当時どれだけ自分が惨めだったかっていうことだけ。どれだけ狂ってて、混乱してたかっていうことだけ。13歳から16歳までは、かなりツラかったな」
と自身のメンタルヘルスについて振り返って語っている。
ショウアップされた完璧なアイドルやスターへの「憧れ」よりも、影や痛みを持つ、リアルなビリー・アイリッシュに「共感」しているのでしょう。
共感する歌詞
ティーンがもっとも共感するのは歌詞かもしれません。ビリー自身
「私の歌詞はフィクションだけど嘘じゃない」
と言っているように自身を投影している歌詞が多いのです。
wish you were gay
あなたの気分を楽にさせてあげたいだけ
なのにあなたはよそしか見ていない
あなたに伝えられるはずもないよね
一緒にいたくないと
思えたらいいのになんて
ただあなたがゲイだったらなって
思ってるだけ
好きな男の子と両想いになれなかったときに、自分に原因があるのではなく相手がゲイだからだったら良かったのに、という思いを歌った曲。
listen before i go
私が必要なら、私に会いたいのなら
急いだほうがいいわよ
だってもうすぐ私はいなくなるから
けど、もう私を救うのは無理
悪いけど、どうすればいいか分からない
悪いけど、出口はないの 落ちて行くだけ
Mm、下に向かって
友達に電話して 愛してるって伝えよう
会えなくなるのは寂しいけれど
後悔はしていない
うつ病について歌った曲。
Everything I Wanted
夢を見たの
欲しいものを全部手に入れた夢
あなたの想像してるのとは違うの
飛べると思った私は夢の中で
ゴールデンゲートブリッジから飛び下りた
誰も悲しんでくれなくて
気づいてもくれなかった
皆そばにいたはずのに
私を気にしてくれてるんだと思ってた
夢を見たの
欲しいものを全部手に入れた夢
でも目を覚ましてみれば
あなただけがそばにいた
17歳で輝かしい名声を獲得したビリーなのですが、
「17歳まで生きていられないと思っていた」
そうです。そんなビリーが自殺する夢を見たと歌う曲。
そして、様々な社会問題について積極的に発言していくビリーらしい曲も多い。
自殺防止のキャンペーンに参加し、メンタルヘルスの問題を抱えているファンたちに、
「ファンの子たちの肩を掴んで、
『お願いだから、自分を大事にして。
自分にやさしくして。
自分に親切にして。』
って伝えたい。
『どうか、その余計な一歩を踏み出さないで。
これ以上、自分自身を傷つけないで』
って」
とメッセージを送りました。
all the good girls go to hell
一旦水位が上がり始めて
天国が見えなくなってしまったら
神様は自分のチームに悪魔を
加えたくなるはず
あなたの揉み消し工作も そろそろ限界
人間ってホント愚かだよね
地球温暖化について歌った曲